五号線。
 
 
 
■ 続きである。
 知人というのは女性なのだが、ステージではかなり美人である。
 夜も遅くなると、二十代後半の夜更けという按配である。
「相変わらず、奇麗だな」
「ウソ。ばっかり」
 甲高い声で応え、急いで帰ろうと、ランプを登る。
 
 
 
■ 霞ヶ関のトンネルを抜け、千鳥ヶ淵を過ぎる。
 右に逸れると五号線に入る。
 夜は何時も工事をしている。
 過ぎれば飛ばすのだが、横に乗せている時には丁寧ににゆくようになった。
「え、何?」
 と、ボリュウムを下げる。
 位置が分かるということは、似た車に乗り慣れていることを示唆する。
 
 
 
■「これから風呂に入るのか」
「どうしてそんなことを聞くの」
「明日も早いからさ」
「変なひとね」
 すこしも変じゃない。
 お茶を飲むと、私は帰れなくなってしまうのだ。